平成27年1月からの改正相続税が施行 - 相続コラム | 冨永正見税理士事務所

平成27年1月からの改正相続税が施行

目次

来年の1月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産から改正された相続税が適用されます。 その結果、これまで相続税に縁がなかったゾーンの人も、相続税が課されるケースが出てきます。

平成27年1月からの改正相続税が施行

2014年8月12日

改正点1: 基礎控除の金額が大幅に縮小される

相続税は、 基本的に課税資産総額(相続財産ー基礎控除額)を法定相続人ごとに 法定相続分で按分した価格に超過累進税率を適用して計算します。 税額の計算に大きく影響する基礎控除額の現行と改正後の計算方法は図1のようになり大幅に縮小されます。 その結果、これまでは課税対象にならなかったゾーンの人に相続税が課税されるケースが出てきますので、注意が必要です。

基礎控除の計算
図1 基礎控除額の縮小

例えば、4人家族(夫婦+子供二人)のご主人が亡くなり、相続財産が6,000万だったケースでは、 図表2のように現行では相続税がかかりません。 しかし、改正後は基礎控除額が8,000万から4,800万に縮小されるため、相続税が課税されることになります。

課税遺産総額の計算 相続税の有無
現行 6,000万 - (5,000万+1,000万x3人) = 0円
相続財産 - 基礎控除額8,000万 = 課税資産総額
負担なし
改正後 6,000万 - (3,000万+600万x3人) = 1,200万円
相続財産 - 基礎控除額8,000万 = 課税資産総額
負担あり
図表2 4人家族のご主人が亡くなった場合の相続税課税

基礎控除額は、原則として法定相続人(民法で定められている相続する権利がある人)の 人数により金額が異なってきます。 改正後の法定相続人の人数に応じた基礎控除額の減少額は図表3のようになります。

法定相続人の数 現行の基礎控除額 改正後の基礎控除額 縮小額
2人 7,000万円 4,200万円 2,800万円
3人 8,000万円 4,800万円 3,200万円
4人 9,000万円 5,400万円 3,600万円
図表3 法定相続人の人数ごとの基礎控除額(例)

改正点2: 税率区分が8段階に変更され最高税率を55%に引き上げ

相続税の税率区分が現行の6段階から8段階に変更されると共に、 最高税率が現行の50%から55%に引き上げらます(図表4)。

このため、各法定相続人の取得金額が2億円以下の場合は改正後も税率は変わりませんが、 取得金額が2億円を超えると税率の引き上げと基礎控除の縮小が重なる場合もあり、現行とくらべて かなり負担が増加するケースがあります。

相続税率の改正に伴う速算表
図表4 相続税率の改正に伴う速算表

改正点3: 宅地の評価額を8割減額する特例の限度面積拡大

相続又は遺贈により取得した被相続人(亡くなった人)などが居住していた宅地等がある場合、 一定の要件の下に小規模宅地等の特例によりその宅地等の相続税評価額を80%に減額することができます。 今回の改正により、この特例の対象となる宅地等の適用面積の限度が 240平方メートルから330平方メートルに拡大されます。

例えば、この特例の対象となる330平方メートルの宅地等を相続した場合、現行では240平方メートルまでの部分しか 評価額を80%減額することができません。が、改正後は330平方メートルまで80%減額出来ます(図表5)。

面積330平方メートル(評価額3,300万円)の居住用宅地等に小規模宅地等の特例の適用をした場合の計算例
図表5 居住用宅地等に小規模宅地等の特例の適用をした場合の計算例

また、80%減額の対象となる事業用宅地等(適用限度面積400平方メートル)と、この居住用の特例を併せて適用する場合の限度面積 も合計730平方メートル(現行400平方メートル)までに拡大されます。